公益財団法人 鹿島美術財団

プロジェクト概要

ボストン美術館に所蔵される日本美術は、海外のコレクションとしては最大規模、かつ最高の品質を誇ります。エドワード・シルベスター・モース(1838~1925)、アーネスト・フランシスコ・フェノロサ(1853~1908)、ウィリアム・スタージス・ビゲロー(1850~1926)らボストンの知識人たちと、岡倉覚三(天心、1863~1913)によって形成されたコレクションは100年以上の蓄積をもっています。そして1991年、鹿島美術財団とボストン美術館の共同により初めて総合的な調査が開始されました。

日本から辻惟雄氏(東京大学教授、当時)をはじめとする第一線の専門家がボストンに派遣され、アン・ニシムラ・モース氏(ボストン美術館学芸員)を中心とする現地の研究者がこれを迎える形で、絵画・彫刻・工芸にわたる幅広い作品群の網羅的調査が約30年にわたって続けられました。日本美術史の分野における海外調査としては空前の規模であり、その成果は2022年に『ボストン美術館日本美術総合調査図録』(中央公論美術出版)の刊行という形で完結しています。

今回、鹿島美術財団ホームページのリニューアルを機に、現地に派遣された研究者へのインタビューを行い、所蔵品の学術的意義、調査にまつわるエピソード、美術史における今後の国際交流に対する提言を語っていただくこととしました。フェノロサや岡倉によって日本美術史という学問が誕生したことを思えば、彼らが創り上げたボストン美術館のコレクションは、この領域の根幹と関わる特質をもつものと考えられます。明治以来の収蔵品に、平成の研究者たちがどのように対峙したのか。オーラルヒストリー(口述史)による記録は、将来の研究者にとっても重要な財産になるものと期待されます。また、専門家だけでなく、鹿島美術財団の活動を広く一般の方々にも知っていただく契機となれば幸いです。

髙岸 輝(東京大学教授)

インタビュー

インタビュー監修: 髙岸 輝(たかぎし・あきら)

1971 年、米国イリノイ州生まれ。東京藝術⼤学⼤学院博⼠後期課程修了、博士(美術)。大和文華館学芸部員、東京工業大学大学院社会理工学研究科准教授を経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書に『室町王権と絵画』(京都大学学術出版会、2004 年)、『中世やまと絵史論』(吉川弘文館、2020 年)、共同監修に『ボストン美術館日本美術総合調査図録』(中央公論美術出版、2022 年)等がある。

インタビュー聞き手: 竹崎 宏基(たけざき・ひろき)

1992 年、島根県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科を経て、現在、ハーバード大学大学院美術史建築史学科在学。2019~21 年、ボストン美術館石橋財団日本美術アシスタントキュレーター。論文に「松江藩家老乙部家蒐集絵画をめぐる諸問題」(『松江歴史館研究紀要』第10 号、2022 年)、「フェノロサと円山四条派」(『鹿島美術研究』年報第38 号別冊、2022 年)、「ボストン美術館における近世大名家コレクションの蒐集とその意義」(『美術史論叢』第39 号、2023 年)等がある。

刊行物

ボストン美術館
日本美術総合調査図録

監修 辻惟雄、アン・モース、髙岸輝
編集 鹿島美術財団
制作 中央公論美術出版

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